2025年に入ってヒューマノイドロボットに関するニュースが増えています。イーロンマスク率いるテスラが「Optimus」の開発を進めており、テスラの工場での利用を開始し、量産した上で一般家庭に普及させると発言しています。さらには火星を目指すロケットに「Optimus」を乗せることを計画しているとも言っています。
テスラの「Optimus」以外でも、OpenAIが出資しているFigure社の「HELIX」も複数台でコラボレーションする動画を発表しています。また、1X Technologies社の「NEO」は布製のボディをもっており家庭になじみやすいデザインになっています。
中国でも、UBTECH Robotics社の「Walers S」の工場での利用や、Unitree社の「Unitree G1」のジョギングする動画が話題になっています。
本コラムでは、弊社が取り扱っているヒューマノイドロボット「Walker S」を紹介させて頂きます。
1. ヒューマノイドロボット「Walker S」とは?
UBTECH Robotics社が開発した最新のヒューマノイドロボット「Walker S」は、産業用途を中心に設計された次世代型ロボットです。身長170cm、体重65kgで、より人間に近いプロポーションを実現しています。搭載された41個の高性能サーボ関節により、滑らかで柔軟な動作が可能です。さらに、工場の生産ラインに適応できる精密な動作制御と高い安全性を備えており、自律的な作業が求められる現場で活躍が期待されています。
2. ヒューマノイドロボット「Walker S」の主なスペック
項目 | スペック |
身長 | 170 cm |
体重 | 65 kg |
自由度(DOF) | 41 |
腕の可動域 | 600 mm(オプションで電子皮膚搭載可) |
関節のトルク | 最大300 Nm |
関節の回転速度 | 最大130 rpm |
ディスプレイ | 8インチAMOLED曲面ディスプレイ |
聴覚 | 6マイクアレイ、360°聴覚センサー |
視覚 | 多目立体視カメラ搭載(RGBDセンサー) |
バッテリー | 約2.5時間(交換可能) |

3. ヒューマノイドロボット「Walker S」の強み・特徴
「Walker S」は優れた歩行性能や多様な機能を備えています。最大速度4km/hで移動し、大理石や草地などの地形に対応すると共に、最大20°の坂や20cmの段差をスムーズに昇降し、外力回復機能により外部の衝撃にもバランスを保てます。
AIによるマルチモーダル認識技術を搭載し、人体検出(認識精度97%以上)、顔認識(99%以上)に対応。未登録の物体も識別し、OCR機能で看板や指示書の解析が可能です。音声認識や感情分析により、自然な対話も実現します。
また、精密な手作業を可能にする手眼協調技術を搭載し、100種類以上の物体認識や力覚フィードバックにより柔軟な操作が可能です。全身41の関節を統合制御し、人間に近い動作を行えます。
さらに、U-SLAM技術と3D点群マッピングで環境を正確に把握し、2cm以内の誤差でナビゲーションを行います。最新のROSA 2.0 OSを搭載し、GUIによる直感的な操作やスマートデバイスでのリモート制御に対応。AIoTと連携し、スマート工場やオフィスでの活用も可能です。
① 高度な歩行・移動能力
「Walker S」は独自の歩行制御技術を採用し、さまざまな環境でスムーズな移動が可能です。
最高速度:直線移動で最大4km/h
複雑な地形適応:大理石、木床、カーペット、タイル、草地などでも安定した歩行
斜面対応:最大20°の坂を登降可能
階段の昇降:最大20cmの段差を1秒以内で昇降
また、Push Recovery(外力回復)機能を搭載し、外部からの衝撃を受けてもバランスを保つことができます。
② マルチモーダルAIと認識技術
「Walker S」は、AIを活用した多模態(マルチモーダル)認識技術を搭載し、周囲の環境や人間の動きを理解できます。
人体検出:認識精度97%以上、フレームレート33fps
顔認識:認識精度99%以上
物体認識:未登録のオブジェクトも識別し、6D姿勢推定を実行
OCR機能:周囲のテキスト(看板や指示書)をリアルタイムで解析
さらに、音声認識と感情分析を組み合わせることで、ユーザーとの自然な対話が可能です。
③ 精密な手作業と全身協調動作
「Walker S」は、高度な手眼協調(Hand-Eye Coordination)技術を搭載し、より精密な作業を行えます。
物体検出AIにより、100種類以上のオブジェクトを認識
力覚フィードバックを活用し、柔らかい物体や複雑な形状の物を適切に掴む
全身41の関節を統合制御し、より人間らしい操作が可能
④ 高度なナビゲーション能力
「Walker S」は、UBTECH独自のU-SLAM技術と3D点群セマンティックマッピングを活用し、環境を正確に把握しながら自律移動します。
精密ナビゲーション:物体レベルでの正確な位置決め(誤差2cm以内)
視覚と3D点群データの融合で障害物を回避
リアルタイムマッピングで、動的環境にも適応
⑤ ROSA 2.0:最新のロボットOS
「Walker S」は、UBTECH社が独自開発したROSA 2.0(Robot Operating System Application)**を搭載。
直感的なGUIによる操作
リモート制御対応(スマートデバイスやPCから管理可能)
AIoT(AI + IoT)との統合でスマート工場やオフィスでの活用が可能

4. ヒューマノイドロボット「Walker S」の主な用途
「Walker S」は、工業・製造業、商業サービス、教育・研究の3つの分野で活用されています。工場では精密作業や重量物の運搬、危険エリアでの作業支援に対応。商業施設では受付業務や警備、イベントでのデモンストレーションが可能です。また、AIやロボティクスの研究、大学での教育プラットフォームとしても活用できます。
① 工業・製造業向け
工場ラインでの精密作業(組立、検査、部品搬送)
重労働の補助(最大10kgの重量を持ち運び可能)
危険エリアでの作業支援
② 商業サービス向け
受付業務(案内、接客)
施設の警備・巡回
イベントでのプレゼンテーションやデモンストレーション
③ 教育・研究用途
AIとロボティクスの研究開発
大学や研究機関でのプラットフォームとして活用
人間とロボットのインタラクション研究
5. ヒューマノイドロボット「Walker S」の進化
Walker Sは、現在自律ロボットとしての機能強化が進められており、将来的にはより多くの業界での導入が期待されています。UBTECHはすでに東風汽車、NIO(蔚来)、フォルクスワーゲン青島工場、吉利などの大手自動車メーカーと協力し、実際の工場ラインへの導入を進めています。
また、AI技術(LLM、VLM)を統合し、より高度な意思決定や対話能力を持つロボットへと進化させる計画もあります。
Walker Sは、これまでのヒューマノイドロボットとは一線を画し、実用性の高い産業向けロボットとして進化を遂げています。AIとロボティクス技術の融合により、これまで人間が行っていた作業をロボットが担う未来が、すぐそこまで来ています。
今後、産業・商業・教育など多岐にわたる分野での活躍が期待されるWalker Sに、さらなる注目が集まっています。
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